張作霖爆殺事件 ×「マオ」× 歴史修正主義
張作霖爆殺事件は関東軍によって起こされたとするのが通説です。
でも世の中にはそれを認めたくない人たちがいるようで。
歴史修正主義者たちの典型的な思想が垣間見えます。
例えばこの動画。
歴史修正主義者たちのつどい。いかつい人たちがいかつい場所に集まってます。
「張作霖爆殺事件はソ連の仕業だ」と わざわざ日本に言いに来た無名ロシア人作家による誰に向けてやっているのかよく分からない記者会見の動画です。桜チャンネルですかね。
動画でも触れられていますが、多くの歴史修正主義者の間で張作霖爆殺事件ソ連主謀説の根拠となっている本が「マオ 誰も知らなかった毛沢東」です。
ブックオフで普通に買えます。筆者も買いましたが分厚いのでまだ読んでません。
ちなみに中国では発禁になってます。
https://www.amazon.co.jp/マオ―誰も知らなかった毛沢東-上-ユン-チアン/dp/406206846X
この本で張作霖爆殺事件について書かれているのは下記の部分のみ。しかもこれ、脚註です。
張作霖爆殺は一般的には日本軍が実行したとされているが、ソ連情報機関の資料から最近明らかになったところによると、 実際にはスターリンの命令にもとづいてナウム・エイティンゴン(のちにトロッキー暗殺に関与した人物)が計画し、日本軍の仕業に見せかけたものだという。
そしてこの脚註の出典となっているのが冒頭の無名ロシア人の本だというわけです。ややこしい。
じゃあなんで無名ロシア人のおっさんの本を根拠にしないかというと邦訳が一冊も発売されてないからです。
歴史修正主義者のおじさまがたは、無名ロシア人が書いた本を出典にして中国人が書いたたった1行の脚註を根拠に張作霖爆殺事件の犯人を解明しようとしているようです。ややこしい。
ちなみに、ロシア人のおっさんが何を根拠にソ連主謀説を書いたかというと、ヴェノナ文書というソ連の諜報機関の通信記録らしいです。アメリカとイギリスの諜報機関によって解読された、とされています。これもかなり怪しさプンプンの文書ですね。
参考:ビジネスのための雑学知ったかぶり 張作霖暗殺とヴェノナ文書
さて、冒頭の動画に出てくる田母神おじさんは、2008年に今話題のアパホテル主催の論文コンテストで入賞して「田母神論文」として話題になりました。そのことについて書かれた下記のブログにも「マオ」が出てきてますね。 まるでバイブルです。
このブログにも書かれているように、歴史修正主義者の多くは、日本が戦争したのはソ連のコミンテルンの仕業で、日本は悪くない、と主張します。
だから、日本暴走のはじめの一歩的な出来事である張作霖爆殺事件をソ連の仕業だとしたいんでしょうか。
最後にこの動画。元文春編集長と近現代史研究家のおじいちゃん二人が楽しそうに「マオ」を飾りながらソ連主謀説について話しています。長いですが、最初の10分ぐらい見るだけでも楽しそうな雰囲気が伝わってきます。
癒されますね。
ホーリーライト